甲南高等学校同窓会ホームページ開設記念特別対談企画 第2弾※この記事は、平成25年12月の初代ホームページ開設時に企画・執筆されたものです。

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阪口・・・なぜ韓国や中国が、日本が軍事力を増強すると、警戒心を抱くのか、その点を考える必要があると思います。日本の特殊な歴史が、9条をわれわれに課しているのです。9条改正の問題がわれわれに突き付けているのは、歴史とどう向き合うかという問題です。

根津・・・あの戦争で、日本の若者も戦争に駆り出され、膨大な犠牲者が出ました。憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し・・・・」ということは、被害を与えた諸国民に対する「国際公約」であるとともに、国家が若者に再び銃を取らせないという約束なのです。憲法改正によって、この約束を変えてはならないのです。

— 集団的自衛権の行使など最近のホットな話題についてはどうですか。

根津・・・集団的自衛権を行使して、海外で武力行使をする国になってよいのでしょうか。幸い戦後68年間の日本は、戦争で、1人も殺していないし、1人も殺されていません。これはまさに平和国家というブランドです。そうした平和ブランドを捨てると、失うものは限りなく多いと思います。

阪口・・・私も同感です。「第二次世界大戦後、戦争をしてこなかった日本」というのは外交において大きな武器です。アメリカと一緒に戦争をするのではなく、アメリカに戦争をさせない、アメリカも含めて諸国に、アジアで戦争をさせない外交を、日本は展開すべきだと思います。それがアジアを侵略した日本がとるべき戦争責任です。

それでは両先生が甲南中学・高校で得られたものについてお聞かせください。

根津・・・私は社会科が好きでした。こうした個性を伸ばして下さった先生方がおられましたし、今日まで課題を共有できる友人に出会えました。先生方も友人たちも、私の短所をあげつらうことは全くなく、長所を引き出して下さいました。おかげさまで、今日まで自信をもって心豊かに生きることができました。

阪口・・・私にとって甲南中学・高校での6年間は「自由」な時間でした。「自由」って厄介なものです。何でもできるのですが、自分が何をしたらいいのか分らないから、ただ何となく周りの人達と同じようなことをしたりするか、逆に焦って無理に目立とうとしたり、無意味に周りに反発してしまったりします。私は高校時代の途中から後者の道を選択し、甲南の外に出ようと思いました。先生方や仲間は、決して「善き生徒」とは思われないそのような私に寛容に接して下さるばかりでなく、応援までして下さいました。今、私自身が教師になってみて、これがいかに難しいことかを実感しています。自分とは異なる態度をとる生徒や仲間をも受容し、応援する甲南の雰囲気こそが「自由」の風だと感じます。